大間マグロについて
大間のマグロは、釣り方に特徴があります。大間崎の前沖では、潮の流れが複雑なため、海外でカジキマグロを釣るようなトローリング漁法はできません。ダンブ流しのような流し釣りも難しいです。
大間の一本釣り漁は、群れの前にエサを落とし、ハリを喰わせる方法です。
操船技術から始まり、エサや道具の選定、エサの投入タイミング、合わせ、巻き取り技術、などすべてがうまくいって釣れる非常に難しい漁法の一つです。
1匹釣れば数百万円にも達することがありますが、何か月も釣れない漁師がいるのも事実です。
1匹で数百キロもあるマグロを吊り上げている漁師は、まさに命がけです。常に危険と隣り合わせという極限の状況で挑むマグロ漁師の姿、そしてその格別な美味しさはメディアによって注目されるようになり、マグロといえば「大間のマグロ」とまで言われるようになりました。
こうして「大間のマグロ」は日本一有名なマグロ、すなわち世界一有名なマグロとなり世界中のマグロファンを魅了しています。
また、大間崎にあるマグロのモニュメントは、大間産まぐろ販売とお食事の店「まぐろ長宝丸」のオーナーが平成6年に釣った440kgのマグロ実物大です。撮影スポットとしても親しまれているモニュメントです。
近大(近畿大学)マグロについて
天然海域から捕獲した稚魚を育てるのが、蓄養マグロ。
一方、養殖施設で人工ふ化させ、稚魚から大きくしたマグロが完全養殖マグロ。
不可能と言われてきたクロマグロの完全養殖。光に敏感で神経質な点、網スレによる死亡、共食い等、様々な問題を抱えており研究は困難を極めました。1尾の雌から数百万粒の卵が採れ、ふ化から約3ケ月で30cmになり、3年で1m、体重30kg以上になります。養殖マグロを育てるのに、多くのエサが必要になるのも事実です。
このように1970年に完全養殖に向け研究を開始してからの道のりは非常に長く厳しい状況でした。
しかし研究を積み重ね対策を講じ、苦難の32年を乗り越えた結果、近畿大学は2002年に世界で初めて完全養殖に成功。2004年の出荷に至りました。
そして現在、「近大マグロ」は一大ブランドマグロとなりました。
生マグロについて
青森マグロの出荷パターン
仲買人出荷
組合出荷
市場での「セリ」
産地市場でのセリ
産地市場では地元の仲買人がセリに参加します。
地元の仲買人がマグロを捌いて地元の飲食店等に売る場合もありますが、産地市場で買った値段よりも、築地で値段がすると判断した場合は築地に運ばれます。そして築地のセリにかけられます。
築地のセリ場に上場されたマグロは、朝5時に入札がかけられ、築地の仲卸業者が競い合います。
この時、上場されているマグロの本数が多い場合やマグロの品質が良くない場合は、入札の値段がつかない場合があります。このときは相対取引と言って値段交渉が行われます。
消費市場でのセリ
市場原理からいくと、マグロの本数が少ないときは誰でもほしいわけですから、値段はせりあがっていきます。逆に多いと、売り切れない可能性もあるので、値段は落ちていく傾向にあります。
産地の仲卸業者や漁協の販売担当者などは、全国各地でどのくらいマグロが水揚げされたか情報収集に注力します。セリ場に上場される本数が少ないときに上場させることができれば、値段は高くなりやすので頑張るわけです。
マグロの場合、100kgから200kg、大きいものでは300kgを超しますので、kg単価1000円違うと100kgでは10万円、200kgでは20万円違うので皆必死です。
高値がつくマグロを見極める
一般的に、脂の乗ったマグロは高値が付きます。マグロの目利きは、尾の肉や腹の厚みなどを見て判断します。目利きは、非常に難しく博打のようなものだと例えられるほどです。
水揚げ直後に脂がのっていても、青森から築地まで運ばれ時間が経過すると、脂が抜けていることもあります。
逆に、水揚げ直後に脂が少なくても、時間を置くと脂が出てくる場合もあるので、マグロの目利きは非常に難しいのです。
マグロの「ヤケ」
マグロは内臓が抜かれた状態(業界用語でハラトリ、ヌキ)で上場されますが、落札して買った業者しかわからないことがあります。それはヤケです。
ヤケとは、漁獲された時のストレスや、体温の急上昇、pHが低下することによって起きるとされる現象で、マグロ本来の赤身が白くなって、酸味がかってしまうことです。このヤケ肉は、刺身で食べることができません。ヤケ肉があった場合は、落札業者と漁師との間で減額調整が行われることが多いです。
マグロの体表面の温度は、生息水温に近いのですが、内部の体温はそれよりも10℃以上も高く、ヤケを発生させないため、漁師の間では漁獲されたらすぐに冷やすことが徹底されています。
冷凍マグロについて
世界各地で様々な漁法(定置網や巻き網、曳き網、一本釣り、延縄等)で漁獲されたマグロは、超低温(マイナス40度以下)で冷凍にしたのち、築地に運ばれていきます。(築地に運ばれず、小売業者に直接行く場合もあります。)
冷凍マグロも生マグロ同様に、セリが行われます。生のマグロと違うのは、冷凍されているため、いつセリ場に出すか自分で決められるということです。
冷凍設備をもった大型漁船が陸上の冷凍庫に収納する場合もありますし、そのまま築地市場に出荷するときもあります。業者によっては、競落したマグロを解体して売るのではなくもう一度自社の冷凍庫に収容し、需要が高まる年末や近海のマグロが漁獲されない1月から5月あたりにセリ場へ上場するときもあります。