マグロは、文字通り全世界泳ぎ回る回遊魚です。
あの大きな魚体を維持成長させるためには、栄養価の高いエサを探し出していかなければなりません。行き当たりばったりでエサを見つけているとは考えにくいものです。
以前、定置網に入ったマグロが海底近くの網を噛んで自爆(死亡)していることがありました。このマグロの胃袋を見てみると、カレイが入っていたのです。筆者は、マグロもカレイを食べるのだなと非常に驚いた記憶があります。
この時期のカレイ(ムシガレイ)は、産卵を終え、身が肥えてくる時期のものでした。魚の旬は、2度あります。(魚の旬について)1度は、卵や精巣が発達する産卵期。もう1つは、産卵期を外した、身を食べる時期。つまり、卵に栄養がいかない時は、身に栄養がいき非常に美味しくなるのです。
自爆したマグロは、定置網内部で美味しそうなカレイを見つけ、食べたところ、一緒に網も噛んでしまい、その場から離れられなくなり、息絶えてしまったのです。
マグロは泳ぎ続けないと、呼吸ができないため死んでしまいます。きっと食い意地のあるマグロだったのだと思います。これらのことはあくまでも状況証拠でしかありませんが、何かしら美味しい魚を探知する能力があるのだと思います。
津軽海峡の先端に位置する龍飛・三厩地域では、ある時期になると、マグロはアオリイカのエサにしか喰いつかないことが知られています。(三厩マグロ)(龍飛マグロ)
アオリイカが餌として美味しく、栄養価が高いことを知っているかの如く狙って食べているそうです。
魚は食べてからエサを吐き出すこともありますが、食べる前に探し出す能力があるのかもしれません。
もしくは経験的に美味しい時期の魚を覚えていて、それらを狙い、世界の海を泳ぎ続けているのかもしれません。